2014年04月30日
十数年変わらない光景
入居して長い桜さん。
毎朝欠かさず、2階の窓から見える神社へ、県外の息子さんの健康と幸せを祈って手を合わされます。
そんな姿をみて、私は桜さんが入居して数年経った頃、こんなことを聞いてしまったことがありました。
「県外の一人息子さんはお仕事などでなかなか香川に戻ってこられないので、お手紙か何か送られますか。」
そうすると、桜さんは「私が、手紙を送ると、息子に変な気を使わすかもしれない。息子には気を使わせたくないし、何かあればお互いに連絡する。なければお互い心配するな。という証。親子とは必ず繋がっているから大丈夫です。」と言われたことがあります。
それから十数年の月日が流れましたが、体調の良い日も悪い日も、桜さんは変わらず毎朝手を合わされていました。
そんな中、桜さんが脳梗塞を起こされ入院されることになりました。
県外の息子さんは母を心配し、直ぐに病院に駆けつけてくださいました。
そして、退院日になり県外に帰る息子さんが桜さんに、「母さん。今まで連絡あまりできなくてごめん。母さんからの連絡が無いのは、僕が心配しないようにしてくれていたんだろ。ありがとう。」と言って手を握ると、桜さんは、「バカ。ただ私も元気にやっているから連絡するのを忘れていただけ。あんたはあんたで頑張りなさい。」といって見送りました。
退院後は、車いすの生活になりましたが、今も1日も手を合わすのを忘れたことはありません。